令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 理論科目 問140 解説 問14 問14
問14 図のように,線間電圧200Vの対称三相交流電源から三相平衡負荷に供給する電力を二電力計法で測定する。2台の電力計W1及びW2を正しく接続したところ,電力計W2の指針が逆振れを起こした。電力計W2の電圧端子の極性を反転して接続した後,2台の電力計の指示値は,電力計W1が490W,電力計W2が25Wであった。このときの対称三相交流電源が三相平衡負荷に供給する電力の値[W]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,三相交流電源の相回転はa,b,cの順とし,電力計の電力損失は無視できるものとする。
- 25
- 258
- 465 ✓ 正答
- 490
- 515
解説
二電力計法において、一方の電力計が逆振れを起こした場合、その指示値は負の値として扱う必要があるため、全電力は両電力計の指示値の代数和である490Wと-25Wの加算により465Wとなります。
二電力計法による電力測定
二電力計法は、三相平衡負荷に供給される全電力を2台の電力計で測定する手法です。三相交流回路において、任意の2本の線に電力計を接続し、残りの1本を共通点とすることで、負荷の力率にかかわらず全電力を測定できます。
この手法では、アロンの定理が成り立つことが基本となります。アロンの定理とは、三相回路の全電力は2台の電力計の指示値の合計に等しいという法則です。重要なのは、各電力計の指示値が必ずしも正の値をとるとは限らない点です。負荷の力率が0.5未満(位相差が60度を超える)になると、一方の電力計の電流と電圧の位相差が90度を超え、力率角の余弦が負の値をとるため、指針がゼロより左側に振れる「逆振れ」が生じます。このとき、その電力計の指示値を負の数値として算入することで、正しく全電力を求めることができます。
電力計の指示値の扱い
今回の設問に基づき、以下の手順で全電力を導き出します。
逆振れの処理を確認する 電力計の指針が逆振れを起こしたことは、その接続点における実効電力の符号が負であることを示しています。問題文で電圧端子の極性を反転させて指針を振らせた操作は、負の値を正の値として測定するための措置です。したがって、測定された25Wは、本来の回路の状態では-25Wとして扱うべき値です。
全電力を算出する 二電力計法による全電力 は、2台の電力計の指示値をそれぞれ 、 とすると、 で求められます。今回の条件では W、 W を代入し、 W となります。
電力計に示された正の値と、逆振れという物理現象が示す負の符号を重ねてみると、三相平衡負荷が消費している正味の電力量が見えてきます。