第三種電気主任技術者試験 / 令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 理論科目 / 各問題解説 / 問172
certification-simodake-work

令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 理論科目 問172 解説 問17(b) 問17

設問図

問17(b) 図のように,極板間の厚さd[m],表面積S[m^2]の平行板コンデンサAとBがある。コンデンサAの内部は,比誘電率と厚さが異なる3種類の誘電体で構成され,極板と各誘電体の水平方向の断面積は同一である。コンデンサBの内部は,比誘電率と水平方向の断面積が異なる3種類の誘電体で構成されている。コンデンサAの各誘電体内部の電界の強さをそれぞれE_A1,E_A2,E_A3,コンデンサBの各誘電体内部の電界の強さをそれぞれE_B1,E_B2,E_B3とし,端効果,初期電荷及び漏れ電流は無視できるものとする。また,真空の誘電率をε_0[F/m]とする。両コンデンサの上側の極板に電圧V[V]の直流電源を接続し,下側の極板を接地した。コンデンサA全体の蓄積エネルギーは,コンデンサB全体の蓄積エネルギーの何倍か,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 0.72
  2. 0.83 ✓ 正答
  3. 1.00
  4. 1.20
  5. 1.38

解説

コンデンサAの蓄積エネルギーがコンデンサBの蓄積エネルギーの約0.83倍となるのは、Aが誘電体を直列に積層した構造で合成静電容量が小さく見積もられるのに対し、Bは誘電体を並列に並べた構造で合成静電容量が大きくなるためです。

コンデンサの構造と合成静電容量の考え方

平行板コンデンサの静電容量 CC は、極板の面積を SS、極板間の距離を dd、誘電率を ε\varepsilon とすると、C=εS/dC = \varepsilon S / d で表されます。誘電体が複数ある場合、それらの配置によって合成静電容量の計算方法が異なります。

誘電体が極板に対して垂直に積層されている場合、各誘電体は直列に接続されているとみなします。このとき、合成静電容量の逆数は各層の静電容量の逆数の和となります。一方、誘電体が極板と平行に配置されている場合、各誘電体は並列に接続されているとみなします。このとき、合成静電容量は各誘電体部分の静電容量の単純な和となります。また、コンデンサに蓄えられるエネルギー WW は、静電容量 CC と印加電圧 VV を用いて W=12CV2W = \frac{1}{2} C V^2 と表されます。

コンデンサAのエネルギー計算

コンデンサAは、厚さ d/6,d/3,d/2d/6, d/3, d/2 の3つの誘電体が直列に積み重なっています。それぞれの静電容量を CA1,CA2,CA3C_{A1}, C_{A2}, C_{A3} とすると、誘電率が 2ε0,3ε0,6ε02\varepsilon_0, 3\varepsilon_0, 6\varepsilon_0 であるため、 CA1=2ε0Sd/6=12ε0SdC_{A1} = \frac{2\varepsilon_0 S}{d/6} = \frac{12\varepsilon_0 S}{d} CA2=3ε0Sd/3=9ε0SdC_{A2} = \frac{3\varepsilon_0 S}{d/3} = \frac{9\varepsilon_0 S}{d} CA3=6ε0Sd/2=12ε0SdC_{A3} = \frac{6\varepsilon_0 S}{d/2} = \frac{12\varepsilon_0 S}{d} となります。これらを直列接続した合成静電容量 CAC_A の逆数は、 1CA=d12ε0S+d9ε0S+d12ε0S=3d+4d+3d36ε0S=10d36ε0S=5d18ε0S\frac{1}{C_A} = \frac{d}{12\varepsilon_0 S} + \frac{d}{9\varepsilon_0 S} + \frac{d}{12\varepsilon_0 S} = \frac{3d+4d+3d}{36\varepsilon_0 S} = \frac{10d}{36\varepsilon_0 S} = \frac{5d}{18\varepsilon_0 S} となり、CA=18ε0S5dC_A = \frac{18\varepsilon_0 S}{5d} です。したがって、エネルギー WAW_A は WA=12⋅18ε0S5d⋅V2=9ε0SV25dW_A = \frac{1}{2} \cdot \frac{18\varepsilon_0 S}{5d} \cdot V^2 = \frac{9\varepsilon_0 S V^2}{5d} となります。

コンデンサBのエネルギー計算

コンデンサBは、面積が S/6,S/3,S/2S/6, S/3, S/2 に分割された誘電体が並列に配置されています。それぞれの静電容量を CB1,CB2,CB3C_{B1}, C_{B2}, C_{B3} とすると、 CB1=2ε0(S/6)d=ε0S3dC_{B1} = \frac{2\varepsilon_0 (S/6)}{d} = \frac{\varepsilon_0 S}{3d} CB2=3ε0(S/3)d=ε0SdC_{B2} = \frac{3\varepsilon_0 (S/3)}{d} = \frac{\varepsilon_0 S}{d} CB3=6ε0(S/2)d=3ε0SdC_{B3} = \frac{6\varepsilon_0 (S/2)}{d} = \frac{3\varepsilon_0 S}{d} となります。これらを並列接続した合成静電容量 CBC_B は、単純な和として CB=(13+1+3)ε0Sd=133⋅ε0SdC_B = (\frac{1}{3} + 1 + 3) \frac{\varepsilon_0 S}{d} = \frac{13}{3} \cdot \frac{\varepsilon_0 S}{d} となります。したがって、エネルギー WBW_B は WB=12⋅133⋅ε0SV2d=136⋅ε0SV2dW_B = \frac{1}{2} \cdot \frac{13}{3} \cdot \frac{\varepsilon_0 S V^2}{d} = \frac{13}{6} \cdot \frac{\varepsilon_0 S V^2}{d} です。

最後に、比 WA/WBW_A / W_B を求めると WAWB=9/513/6=95×613=5465≈0.83\frac{W_A}{W_B} = \frac{9/5}{13/6} = \frac{9}{5} \times \frac{6}{13} = \frac{54}{65} \approx 0.83 となります。

極板間の誘電体の層や面積の分割をあらためて眺めてみると、直列接続による静電容量の減少と並列接続による増加の対比が鮮明に浮かび上がってきます。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう