第三種電気主任技術者試験 / 令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 理論科目 / 各問題解説 / 問30
certification-simodake-work

令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 理論科目 問30 解説 問3 問3

設問図

問3 磁気回路における磁気抵抗に関する次の記述のうち,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 磁気抵抗は,次の式で表される。磁気抵抗=起磁力/磁束
  2. 磁気抵抗は,磁路の断面積に比例する。 ✓ 正答
  3. 磁気抵抗は,比透磁率に反比例する。
  4. 磁気抵抗は,磁路の長さに比例する。
  5. 磁気抵抗の単位は,[H^-1]である。

解説

磁気抵抗は磁路の断面積に反比例するため、断面積に比例すると述べる選択肢(2)が誤りです。

磁気抵抗の性質と磁気オームの法則

磁気回路における磁気抵抗 RmR_m とは、磁束の通りにくさを表す量です。電気回路における抵抗 R=ρl/SR = \rho l / S と同様に、磁気回路においても磁路の幾何学的形状と材料の性質によって決まります。

磁路の長さを ll [m]、断面積を SS [m2^2]、材料の透磁率を μ\mu [H/m] とすると、磁気抵抗は以下の式で定義されます。

Rm=lμSR_m = \frac{l}{\mu S}

この式からわかるように、磁気抵抗は長さ ll が長いほど大きく(比例)、断面積 SS が大きいほど小さく(反比例)なります。また、透磁率 μ\mu は真空の透磁率 μ0\mu_0 と比透磁率 μs\mu_s の積(μ=μ0μs\mu = \mu_0 \mu_s)で表されるため、比透磁率 μs\mu_s が大きいほど磁気抵抗は小さくなります(反比例)。

ここで用いられる考え方は磁気オームの法則と呼ばれ、電気回路のオームの法則(V=RIV = RI)と対比されます。磁気回路では起磁力 FF [A]、磁束 ϕ\phi [Wb]、磁気抵抗 RmR_m [A/Wb] の間に F=RmϕF = R_m \phi という関係が成り立ちます。

磁気抵抗の条件判定

提示された選択肢が磁気抵抗の性質と合致するかを検討します。

  1. 磁気抵抗の定義式を確認します。磁気オームの法則 F=RmϕF = R_m \phi を変形すると Rm=F/ϕR_m = F / \phi となるため、起磁力を磁束で除した値という記述は正当です。
  2. 磁気抵抗の式 Rm=l/(μS)R_m = l / (\mu S) において、分母に断面積 SS が存在することに注目します。数学的な関係として、SS が大きくなれば RmR_m は小さくなるため、断面積に反比例の関係となります。比例するという記述は物理法則に矛盾します。
  3. 磁気抵抗の式 Rm=l/(μ0μsS)R_m = l / (\mu_0 \mu_s S) において、比透磁率 μs\mu_s が分母に含まれていることを確認します。μs\mu_s が大きくなれば RmR_m は小さくなるため、反比例という記述は正当です。
  4. 磁気抵抗の式 Rm=l/(μS)R_m = l / (\mu S) において、分子に長さ ll が存在することを確認します。ll が長くなるほど RmR_m も大きくなるため、比例という記述は正当です。
  5. 単位を確認します。Rm=F/ϕR_m = F / \phi より、単位は [A/Wb] です。一方、インダクタンス LL と磁束鎖交数 NϕN\phi の関係式 Nϕ=LIN\phi = LI を用いると、磁気抵抗は Rm=N2/LR_m = N^2 / L とも表せます。このとき単位は [1/H]、すなわち [H−1^{-1}] となります。この記述は正当です。

磁気回路の各要素である長さ、断面積、透磁率の配置に目を向けると、磁束の通りやすさと抵抗の関係が直感的に見えてきます。

参考リンク

学習の記録にははてなブックマーク!

気づいたこと・覚えたことをコメントにメモしよう