令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 理論科目 問40 解説 問4 問4
問4 磁界及び磁束に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) 1m当たりの巻数がNの無限に長いソレノイドに電流I[A]を流すと,ソレノイドの内部には磁界H=NI[A/m]が生じる。磁界の大きさは,ソレノイドの寸法や内部に存在する物質の種類に影響されない。
- (2) 均一磁界中において,磁界の方向と直角に置かれた直線状導体に直流電流を流すと,導体には電流の大きさに比例した力が働く。
- (3) 2本の平行な直線状導体に反対向きの電流を流すと,導体には導体間距離の2乗に反比例した反発力が働く。 ✓ 正答
- (4) フレミングの左手の法則では,親指の向きが導体に働く力の向きを示す。
- (5) 磁気回路において,透磁率は電気回路の導電率に,磁束は電気回路の電流にそれぞれ対応する。
解説
2本の平行な直線状導体に流れる電流間に働く力は、導体間の距離に反比例するため、2乗に反比例するという記述は誤りです。
磁界と磁束の基本的性質
電気主任技術者の試験で扱う磁気現象には、いくつかの重要な法則や概念があります。
まず、無限に長いソレノイドの内部磁界は、アンペールの周回積分の法則から導かれます。電流 が流れるソレノイドの1mあたりの巻数を とすると、内部の磁界の大きさ は となります。このとき、磁界の強さはソレノイドの直径などの寸法には依存せず、内部に挿入する物質(磁性体)の種類も磁界 の値自体には影響を与えません。
次に、磁界中の電流に働く力についてです。均一な磁界の中に導体を置き、電流を流すと、導体にはフレミングの左手の法則に従った力が働きます。このとき導体に働く力 は、磁束密度 、電流の強さ 、導体の長さ とすると、 ( は磁界と導体のなす角)で表され、電流の大きさに正比例します。
また、2本の平行な直線状導体に流れる電流間に働く力は、アンペールの力として知られます。一方の導体に流れる電流が作る磁界の中に、もう一方の導体があると考えます。磁界の強さは導体からの距離に反比例し、その磁界内で受ける力も電流に比例するため、結果として導体間に働く力は距離の1乗に反比例することになります。
最後に、磁気回路と電気回路の対比です。磁気回路における磁束 は電気回路の電流 に、起磁力 は起電力 に、そして磁気抵抗 は電気抵抗 に対応します。電気回路における抵抗率の逆数である導電率(電気伝導率)は、磁気回路においては透磁率 に対応するものとして扱われます。
選択肢の判断
各選択肢を上記の法則に基づいて検証します。
- ソレノイド内部の磁界 は、内部の物質やソレノイドの寸法に関わらず、電流と巻数だけで決まるという記述は正しいものです。
- 磁界中の電流に働く力は電流の大きさに比例するため、この記述は正しいものです。
- 2本の平行な直線状導体間に働く力は距離に反比例するため、2乗に反比例するという記述は誤りです。
- フレミングの左手の法則において、人差し指が磁界、中指が電流、親指が力の向きを示すという定義に基づき、この記述は正しいものです。
- 磁気回路と電気回路の対応関係において、透磁率は導電率に、磁束は電流に相当するという対応付けは正当なものです。
2本の平行な直線状導体を流れる電流と、その間に発生する相互の磁束密度を重ねてみると、導体間の距離が近づくほどに力が強まる物理的な関係が見えてきます。