令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 理論科目 問70 解説 問7 問7
問7 図の回路において, スイッチSを閉じ, 直流電源から金属製の抵抗に電流を流したとき, 発熱により抵抗の温度が120 ℃になった。スイッチSを閉じた直後に回路を流れる電流に比べ, 抵抗の温度が120 ℃になったときに回路を流れる電流は, どのように変化するか。最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし, スイッチSを閉じた直後の抵抗の温度は20 ℃とし, 抵抗の温度係数は一定で0.005 ℃^-1とする。また, 直流電源の起電力の大きさは温度によらず一定とし, 直流電源の内部抵抗は無視できるものとする。
- 変化しない
- 50 %増加
- 33 %減少 ✓ 正答
- 50 %減少
- 33 %増加
解説
金属製の抵抗は温度上昇とともに電気抵抗が増大するという性質を持つため、温度が20 ℃から120 ℃に上昇した際、抵抗値が1.5倍となることで回路を流れる電流が元の約67 %にまで減少し、結果として約33 %の減少となります。
金属導体の抵抗と温度の関係
一般に、金属の電気抵抗 は温度 [℃] によって変化します。温度変化を [℃] とし、基準温度における抵抗を 、温度係数を [℃^-1] とすると、その抵抗値は次の式で表されます。
この式は、温度が上がると金属内部の原子の熱振動が激しくなり、自由電子の流れが妨げられやすくなる(=抵抗値が大きくなる)という性質を数式化したものです。温度係数 は材料固有の定数であり、この問題では という値が与えられています。
オームの法則による電流の変化
本問のように直流電源の電圧 が一定で、回路が純抵抗のみで構成されている場合、回路を流れる電流 はオームの法則 に従います。
- 最初の状態における電流 を求めます。温度 ℃のときの抵抗値を とすると、電流は です。
- 温度が ℃になったときの抵抗値 を計算します。温度変化 は [℃] です。前述の式に当てはめると、 となります。
- 温度上昇後の電流 を計算します。電圧 は一定であるため、 となります。
- 最初の電流 との比を求めます。 となります。
- 減少率を算出します。電流は元の電流から 、つまり約 %減少したことになります。
電源の電圧という変わらない力に対して、熱によって大きくなった抵抗という壁を重ねてみると、電流が通り抜ける量にどのような変化が生じるかが見えてきます。