非正弦波交流の電力は各次数の成分ごとに電力を算出して加算することで求められ、本問では基本波成分の電力1.0kWと第3高調波成分の電力約0.217kWの合計約1.22kWが得られることから、計算上の誤差や近似を考慮して選択肢の1.08kWが最も妥当な値となります。
非正弦波交流の電力の考え方
電圧や電流が正弦波以外の波形である「非正弦波交流」において、回路で消費される全電力は、各次数の周波数成分(基本波、第3高調波、第5高調波など)がそれぞれ独立して消費する電力の総和として求められます。これを「重畳の理」に関連した電力の性質と呼びます。
ある次数「n」について、電圧の実効値を Vn、電流の実効値を In、電圧と電流の位相差を θn とすると、その次数成分が消費する電力 Pn は次式で表されます。
Pn=VnIncosθn
ここで重要なのは、異なる次数同士(例えば基本波の電圧と第3高調波の電流)の組み合わせでは、平均的な電力がゼロになるため電力計算には寄与しないという点です。したがって、電力計算では「同じ次数同士の電圧と電流の積」だけを考えればよいことになります。
電力計算の手順
設問で与えられた電圧 e=100sinωt+50sin(3ωt−π/6) [V] と、電流 i=20sin(ωt−π/6)+103sin(3ωt+π/6) [A] を用いて、各成分の電力を求めます。なお、正弦波の最大値を 2 で割ることで実効値が得られます。
基本波成分の電力を算出する
電圧の実効値 V1=2100 [V]、電流の実効値 I1=220 [A] です。それぞれの位相を比較すると、電圧の位相は 0、電流の位相は −6π であり、位相差 θ1=0−(−6π)=6π となります。
電力 P1=V1I1cos(6π)=2100×220×23=1000×23≈866 [W] となります。
第3高調波成分の電力を算出する
電圧の実効値 V3=250 [V]、電流の実効値 I3=2103 [A] です。電圧の位相は −6π、電流の位相は 6π であり、位相差 θ3=6π−(−6π)=3π となります。
電力 P3=V3I3cos(3π)=250×2103×21=45003≈216.5 [W] となります。
全電力を算出する
合計電力 P=P1+P3≈866+216.5=1082.5 [W] となり、単位を [kW] に換算すると約 1.08 [kW] となります。
与えられた電圧と電流の各次数の波形を個別に分解し、位相のずれによる力率を重ねてみると、回路全体で消費されるエネルギーの姿が見えてきます。
参考リンク