平成26年度 春期 ITパスポート試験 公開問題 問43 解説 システム要件の評価
システム要件定義において,システム要件を評価する基準として,適切なものはどれか。
- ア システム結合テストの結果との整合性
- イ システムの発注者のニーズとの整合性 ✓ 正答
- ウ 使用する設計手法の適切性
- エ テストケースの網羅性
解説
この問題の解き方:開発の目的を忘れない
システム要件定義における評価基準を選ぶ問題です。システム開発の最上位の目的は「発注者が求めているシステムを作ること」にあります。したがって、定義された要件が発注者のニーズと食い違っていないか、すなわち「整合性」があるかを評価するのが最も重要です。他の選択肢は、要件定義の段階ではなく、後の設計やテスト工程で検討すべき事項であるため、正解はイとなります。
要件定義の役割と評価の重要性
システム開発は、ウォーターフォールモデルのように工程を分けて進めるのが一般的です。その最初のステップである「要件定義」は、後続の設計・開発・テストのすべての指針となります。
ここでいう「要件」とは、システムが「何をするか(機能)」や「どれくらいの性能を出すか(非機能)」という約束事です。もしこの段階で発注者と開発側の認識がずれていると、どれほど素晴らしい技術を使ってプログラミングしても、完成後に「これじゃない」と言われてしまう手戻りが発生します。このような悲劇を防ぐために、要件定義の段階で、その内容が「本当にお客様がやりたかったことか?」を確認し、合意形成を行うことが最大の評価基準となります。
なぜ他の選択肢が不適切なのか
選択肢の内容を開発工程の流れに照らし合わせると、なぜ不正解なのかが分かります。
ア:システム結合テストの結果との整合性 これはテスト工程で行う評価です。テスト結果は要件を満たしているか確認するものですが、要件を定義する時点ではまだテスト自体が存在しません。
ウ:使用する設計手法の適切性 これは設計段階での検討事項です。要件定義は「何を作るか」を決めるものであり、「どうやって作るか(設計)」はその後の工程です。
エ:テストケースの網羅性 これはテスト計画や設計フェーズで行う作業です。要件定義の内容をもとにテストケースを作成しますが、要件そのものの評価基準ではありません。
実務における活用の視点
ITパスポート試験でこの問題が出る教育的意図は、単なる知識の暗記ではなく、「開発の全体像を俯瞰する視点」を身につけさせることにあります。
実際のシステム開発の現場では、要件定義書のレビュー会が行われます。この際、熟練のエンジニアほど「この機能は、顧客が本来やりたいビジネス上の課題を解決するものか?」という視点で発言します。技術的に正しくても、ビジネスニーズを満たさないシステムに価値はありません。試験対策としてだけでなく、将来的にITプロジェクトに関わる際、「この要件の根拠は何か」「顧客の誰のニーズに基づいているか」を常に意識する習慣を持つことが、プロジェクト成功への第一歩となります。