低圧幹線・分岐回路の設計
第二種電気工事士 資格試験対策:低圧幹線・分岐回路の設計
この資料は、第二種電気工事士試験における「低圧幹線・分岐回路の設計」分野で問われる、最低限の知識をコンパクトにまとめたものです。過去問の傾向を踏まえ、覚えるべき定義、数値、公式、法則を中心に構成しています。
1. 過電流遮断器の選定と役割
過電流遮断器は、電線や機器を過大な電流から保護するための重要な装置です。
- 役割:
- 回路に異常な電流(短絡・過負荷)が流れた際に、自動的に回路を遮断する。
- 火災や感電事故を未然に防ぐ。
- 種類:
- 配線用遮断器(MCB):最も一般的。
- ヒューズ:溶断して回路を遮断する。
- 選定の基本:
- 定格電流: 電線または接続される機器の定格電流、あるいは許容電流値を超えないように選定する。
- 動作特性: 短時間での過負荷や、瞬時的な大電流(突入電流)に対する動作特性を考慮する。
- 遮断器の動作時間:
- 定格電流の2倍の電流が流れた場合、1時間以内に動作しなければならない。
- 定格電流の2.5倍の電流が流れた場合、15分以内に動作しなければならない。
- 定格電流の5倍の電流が流れた場合、2分以内に動作しなければならない。
- 例: 定格電流20Aの遮断器に25Aが継続して流れた場合、動作限度時間は60分となります。これは、(25A / 20A) = 1.25倍の電流であり、定格電流の1.25倍は「1時間」以内に動作する仕様に基づいています。
2. 電線の許容電流と太さ(断面積)
電線は、流れる電流によって温度が上昇します。許容電流値を超えて使用すると、被覆の絶縁劣化や火災の原因となります。
- 許容電流: 電線が安全に流せる最大の電流値。電線の種類、敷設方法、周囲温度などによって決まります。
- 電線の太さ(断面積):
- 太いほど抵抗が小さく、許容電流値は大きくなる。
- 基本: 負荷電流値、過電流遮断器の定格電流値、電線の長さを考慮して選定する。
- 分岐回路の設計:
- 幹線から分岐する場合: 分岐点から過電流遮断器までの電線は、幹線を流れる電流を考慮した許容電流値以上のものを選定する。
- 過電流遮断器から負荷まで: 分岐回路の過電流遮断器の定格電流値、または負荷の消費電力に見合った許容電流値以上の電線を選定する。
- 例1: 定格電流50Aの過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐し、7m離れた位置に過電流遮断器を施設する場合、分岐電線の許容電流は17.5A以上が必要です。
- 例2: 定格電流100Aの過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐し、6m離れた位置に過電流遮断器を施設する場合、分岐電線の許容電流は35A以上が必要です。
- 電圧降下: 電線が長くなると、抵抗によって電圧が降下します。
- 許容電圧降下: 通常、使用電圧の3%以内(または4V以内)と定められている。
- 例: 配線長100m、負荷電流10Aの抵抗負荷で、配線の電圧降下を4V以内に抑えるためには、断面積14mm²の電線が必要です。
3. 漏電遮断器の設置義務
漏電遮断器は、漏電を検知し、感電事故や火災を防ぐための装置です。
- 設置義務がある場合:
- 電圧が30Vを超える機器に、雨線区域または湿気の多い場所で、100Vまたは200Vの充電部と接触するおそれのある部分に施設する電気機械器具。
- 例: 店舗付き住宅に三相200V、2.5kWのルームエアコンを施設する場合、専用の漏電遮断器(過負荷保護付)を施設し、ケーブル工事で配線して直接接続するのが適切です。
- 例: 住宅に三相200V、2.5kWのルームエアコンを施設する場合、専用の配線用遮断器と漏電遮断器を取り付け、ケーブル工事で配線し、直接接続するのが適切です。
- 漏電遮断器の種類:
- 高速形: 動作時間が速い。
- 定秒限時形: 一定時間遅れて動作する。
- 過負荷保護付: 過電流保護機能も併せ持つ。
4. 配線工事方法と開閉器の選定
- 配線方法:
- 合成樹脂管工事: 絶縁性があり、加工しやすい。
- 金属管工事: 機械的強度が高い。
- ケーブル工事: 柔軟性があり、施工が容易。
- 開閉器:
- 配線用遮断器: 回路の保護と開閉を兼ねる。
- ナイフスイッチ: 開閉のみを目的とする。
- カットアウトスイッチ: ヒューズと一体になった開閉器。
- 設置してはならない過電流遮断装置:
- 例: 幹線から分岐する部分(⑥で示す箇所)には、2極1素子の配線用遮断器は施設してはなりません。これは、一素子のみが動作した場合、対地電圧が発生する可能性があるためです。 [cite:3, cite:9]
- 引込開閉器の省略:
- 工場と倉庫間の電線長が15m以下の場合、引込開閉器を省略できる場合があります。
5. コンセントの選定
- 兼用コンセント: 複数の用途(例: 電熱器具と照明器具)に共用されるコンセント。
- 単独コンセント: 特定の機器専用のコンセント。
- 設計: 分岐回路の電線の太さ、配線用遮断器の定格電流、コンセントの定格に適合するものを選定する。
学習のポイント:
- 各数値(遮断器の動作時間、電線の許容電流、電圧降下率、電線長など)は丸暗記する。
- 過電流遮断器と漏電遮断器の役割と設置基準を明確に区別する。
- 配線方法とそれに伴う保護措置の関連性を理解する。
- 過去問を解き、知識の定着と応用力を養う。
過去問 (8問)
出典:令和6年度 下期 学科試験、令和7年度 下期 第二種 学科試験、令和7年度 上期 学科試験(一般財団法人 電気技術者試験センター)








